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夢はつかみどり

2004年度学生代表

岸川倫子




「来る者拒まず、去る者追わず」のベンチャー起業論


 大学2年の時、阿比留正弘先生の「ベンチャー起業論」に出会いました。

当時のベンチャー起業論は、一般の学生から、「えっ、ベンチャー?!」と言われるぐらい、アウトロー的な集団に見られていました。ですが、実態はまったく異なっており、ベンチャー起業論は、受講生に対して「来る者拒まず、去る者追わず」の精神で温かく受け入れてくれる、とても懐が深い講義でした。



とはいえ、学生には主体性が求められていました


 とはいえ、無制限にすべての学生を受け入れていた訳ではなく、学生には主体性が求められていました。毎年、初回の講義の際に、「この講義にテストはありませんが、講義に参加すれば単位をもらえる講義ではありません。学生には、主体性が求められます。それは講義以外での活動が求められるということです。この講義の説明を聞いて、少しでも思っていた講義とは違うと思ったのであれば、教務課へ行って講義の変更をお願いします」と口をすっぱくして全受講生に説明がなされていました。



草創期、頑固で一筋縄ではいかない強烈な個性を持った学生の集団


ここで言う「主体性」とは何か?となりますが、ベンチャー起業論は、「人生の経営者になる」を常に目的に掲げていました。阿比留先生の教育者としての信念だと思いますが、「さまざまな学びや経験を通して、自分自身の人生を切り開く力を身につけて欲しい、自分自身が経営者なんだ」という意味だと理解しています。それが極端に尖って講義が運営されていたのが草創期のベンチャー起業論だったと思います。いま、自分がどうしたいのか?どう在りたいのか?と言うことをひたすら問われていました。良いと思うこと、変えた方が良いことがあれば、まずは言い出しっぺがやること。その結果は後からついてくる。また、誰が言い始めたのかはわかりませんが、「他人と過去は変えられない、変えられるのは自分と未来だけ」という言葉に共鳴した、頑固で、一筋縄ではいかない強烈な個性を持った学生の集団であったと思います。



機会に恵まれ行動し、考え、実践する、自信がつく、その繰り返し


 ベンチャー起業論を受講し始めた当初、私は受け身の学生でした。

先輩たちに言われることを先ずは聞いて、経験して、自分だったらこうするのに、と胸の中にひしひしと抱いて、毎回の講義に参加していました。それから、先輩や同級生のベンチャー生と仲良くなり、「インターンシップにリーダーとして行ってみないか?」と声を掛けられるようになり、ベンチャー起業論に居場所を見つけることができました。その結果、いろいろな機会に恵まれ、積極的に行動する、考えたことを実践する、自信がつく、その繰り返しでした。



ベンチャー起業論の中で居場所があり、現在に繋がる仲間を得る


 いま思うのは、主体的なのか、能動的なのかの違いは、その集団の中で、自分の居場所を見つけることができるかだったと思います。私は幸いにも、ベンチャー起業論の中で居場所があり、現在に繋がる仲間を得ることができたので、随分と幸せだったと思います。



1年生から4年生がいる初めての体制でベンチャー起業論の運営


4年生の時に、ベンチャー起業論の学生代表を勤めました。多くの人々に助けられながらの任期でした。ちょうど、その年から、1年生よりベンチャー起業論を受講することができる単位制度になったので、1年生と2年生のベンチャー新入生に囲まれながら、要所に3年生がおり、最終学年の4年生がいるという初めての体制でベンチャー起業論の運営に臨むことになりました。とても貴重な経験をさせていただき、いま振り返っても、とっても楽しかったです。



ベンチャー起業論を無事に次代へ引き継ぐ


 その任期中、最大の目標は、ベンチャー起業論を無事に次代へ引き継ぐことでした。1つ上の先輩である末田さんから引き継いだバトンを後輩の誰かに引き継ぐために、通常の講義運営をしながら、その誰かを探していました。ですが、こういうものは、学生代表をしていた人間の一番近くで、その有り様を見ていた人間が一番適任であるという結論に至り、後輩の並松くんとなりました。



ベンチャー起業論の何かが変容しようとしていた時期


 その後、阿比留先生のもと、ベンチャー起業論は続きました。

私は社会人となりましたが、ある時、阿比留先生から相談の電話がありました。学生との関係に悩まれていたようでした。その相談の具体的な内容は思い出せませんが、ちょうど、ベンチャー起業論の何かが変容しようとしていた時期だったのではないかと思います。



学生と同じ目線で本気でぶつかる金髪の阿比留教授


私が知る阿比留先生は、学生と同じ目線で本気でぶつかってくれる熱い姿です。講義の運営やプレゼンの内容に積極的に意見して、学生とぶつかっても、しばらく経ったら、にこにこ笑っている姿です。そして、時には金髪にされたり、油山から福岡大学までランニングで出社されるような姿です。その先生が悩んでいるようで、ベンチャー起業論の方向性を色々と模索されているように感じました。


ええっ!あの阿比留教授が「なんで学生にこんなにも優しいの?」


 そして、ある時から阿比留先生のスタンスが変わったように思いました。

私はその様子をみて、「先生なんで学生にこんなにも優しいの?」って驚愕するような変わりようで、それとなく聞いてみたら「僕は何も言わないようにしている。学生は自分で考えて動いてくれる。本当に優秀なんだよ」とのことでした。


阿比留先生が理想とする「ベンチャー起業論」の姿


 私は、阿比留先生の昔の姿と今の姿のギャップがあまりにも大きすぎて、頭の中での整理に随分と時間がかかりました。ですが、阿比留先生が理想とする「ベンチャー起業論」の姿が、現在の先生のスタンスによって生まれていると理解するようになりました。学生たちは生き生きしていますし、当時では考えられないような数多くの地元企業からの支援、他大学との交流・協賛など、今がベンチャー起業論の最終形態なのかもしれません。


理想の自分を射止める自分に進化できる


 ベンチャー起業論には、時が経っても、その中の人が変わっても、不変のものがあるように感じます。草創期のキャッチフレーズに「夢はつかみ取り」という言葉があります。自分の理想とする姿を掴んでいく心意気や姿勢は、いつになっても変わらないように感じます。自分が夢や方向性を見失いそうになった時に、ベンチャー起業論で出会った多くの仲間、講師の先生、そして阿比留先生の存在があるからこそ、再び、学生時代の初心に戻ることができる。心が蘇る。そして、理想の自分を射止める自分に進化できる。

それが、私の中で生き続けるベンチャー起業論であると思います。

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