福岡大学 合力 知工 ごうりき ちこう教授
2022年5月23日取材【動画インタビュー】
主体性で持つ、
ポジティブな脳をつくる
学生のやる気スイッチで僕がいつも意識しているのは、主体性を持ってもらう事ですね。これは日本人がよく、一人当たりの労働生産性が低いと言われたりすると思いますが、その原因は色々あるとおもいますが、僕が一番感じるのは主体性を持って仕事をしていない人が多いんじゃないかという事です。で、どうして主体性が持てないのかなという事を考えた時に、例えば、上司の指示命令がすごく多いとか、ノルマを課せられているとか、自分が本当にやりたい事ではない事をさせられる、つまり強制的に何かをさせられる時には、人はどうしても主体的になれない。これは脳科学的にも立証されていて、サウスカロライナ大学のバーバラ・フレドリクソン先生の拡張形成理論によると、人はポジティブな事を考えている時はポジティブな脳が拡張し、ネガティブな事を考えている時はネガティブな脳が拡張する。
ポジティブな脳が拡張している時は幸福感が高く、いろんなモノゴトに対して挑戦的になり、しかもクリエイティビティ豊かになり、アイデアも豊富になるという実験の結果があります。例えば、gafaガーファ( Google Apple Facebook Amazonの頭文字)と呼ばれる会社が、技術者に対してフリーな時間を設けたり、ペットと共に出社する事を認めたりする。この事によって人の脳というのはポジティブに拡張していくんですよね。そうなった時にふっといいアイデアが出たりする。そういう時って人はかなり主体的になっているんですよね。主体的だからクリエイティビティな活動が出来る、会社にとっていい商品とかサービスが生まれやすい環境になり、結果、顧客に受け入れられて購買行動につながっていくという事です。一方、ノルマだとか指示命令とかが多くなってしまうと、ストレスフルな脳になってしまい人の脳はネガティブな事で拡張してしまいますので、やる気が出なかったり、ミスが多くなったりする事が多いと言われています。
傾聴・承認・質問を何度も繰り返す
だから、僕のサポートとして常に意識している事は主体性を持ってもらう事。具体的にどうするか、これは色々なやり方があると思うんですが、僕のやり方はまず、相談してもらうって事ですね。一人で考える事はとても大事な事なんですが、それでもなかなか結果が出ない時もあるかと思います。そういう時はぜひメンターに相談して欲しい。僕が相談にのった時にまずやる事は、相談者からの話を聴くという事、これは傾聴といいます。
どんな事を言われても、どんな相談内容だったとしても僕はそれを認めます。承認という事ですが、その先で、もしも何かわからない事があれば質問をします。こういった傾聴・承認・質問を何度も繰り返す事によって、その先にあるものは何かといったら、気づきなんですよ。
何をやりたい?ではなく
何からはじめる?
例えば、私のゼミの学生から夢がなくて困っている、将来が不安なんです、どうしたらいいでしょうかと相談されるんですが、その時にいろいろ話を聴き、質問するんですが 質問を繰り返すうちに、今までは気がつかなかったけど、自分はもしかしたらこういう事が夢かもしれないと言ってくる学生が多いんですよね。その時にその人に最初になげかける言葉は「なるほどそういう夢なんだね、じゃあその夢に向かってまず何から始める」って事をいいます。将来、何になりたいのっていう質問で終わるのではなく 何から始めるって質問すると学生は考えるんですよ 何からはじめようかなって。だから、何をやりたいではなくて、何からはじめるって言われたら 自分がまずできる事を考えようとするわけです。そしたら、今度は、その次何をしようかなって、だんだん頭が整理されていく、そしたら、いつの間にか自分でTODOリストを作ったりするんですよ そこまで行くともうしめたもんですよね。そしたら、その人が確実にその夢に向かって何かをはじめるはずなんです。
学生の正解に近づける
お手伝いがメンターの役割
だから、僕らメンターは、その状況にもっていくのが役割なのかなと思います。
僕らは、決して答えを知っているわけではなくて、正解をだすのは学生自身ですよね。その正解をより正解に近づけるようにお手伝いするのが我々メンターの役割なので、そういう風にサポートをしていきたいと思っています。
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