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学生を知ることから

更新日:2022年5月17日

福岡工業大学 鄭 雨宗 ちょん うじょん教授

2022年5月9日取材【動画インタビュー】



学生を理解することから

やる気を起こすのも人、やる気を起こさせるのも人、人と人との間の気持ちを交流しながら、相手の気持ちをどう理解するかがやる気をスタートさせる大前提ですが、しかし、そこは大きく見ない、目に見えるところだけにフォーカスしやすいです。

私は大学にいる身として考えると相手は学生です。学生が今どういう立場にいて、どのような環境で勉強したかを知った上で、先に人生を歩んだ人間としてその経験値を伝えるのが大前提です。

そして、学生に教えたい気持ちが先行してしまうけど、まずは学生がどのような立場であるかを理解した上で適正な指導が必要です。


環境が変化する大学時代

小学校中学校高校を卒業してちょうど大学に入って成人を迎えるこの時期は、体的には思春期を終えているんですが、僕は精神的な思春期がこの時期にあるとおもう。

小学校中学校高校時代は、決められた枠の中で頑張れば優等生になれ、あんまり考えなくてすんだ世界ですが、大学に入ると「やってみて」「考えてみて」「ディスカッションしてみて」と急に環境が変化して、何をどうすれば分からなくなってしまう。だからそういった環境の中で学生のモチベーションをあげるための環境づくりをするのが、先に生まれた人の責任かなと思う。


学生の話を聞くことから

学生が生まれてここまで歩んできた人生の状況がさまざま違う訳ですから、仮に偏差値は同じだったとしても、生活した環境が違うので、それぞれに合った課題を与えることが大事。そうなるとこの学生がどのような環境で今ここにいるのかをこちらが知るために学生の話を聞いた方がいい。

学生に伝え対たい気持ちが先に走るんですが、う~んと我慢して出来るだけ学生から話をするようにして、じゃあ、これじゃないのと疑問系で投げる。こうだよ!と決めつけてしまわず、学生に考えるチャンスを与える。そうすると、学生がもやもやしながら自ら考える時間を持つ。


成長のための考える時間

僕は文系ですから、文系の強みとしてはモノゴトを考えるプロセスが大事、単純に成功・失敗だけじゃなくて、失敗も含めてどのようなプロセスなのかを知る事が重要。

成長のための考える時間をとり、プロセスと成果をきちんとフィードバックさせて、次はこうゆうところを直すと君はより一層成長するよと明確に示すと学生は伸びると思うんですよ。僕は基本的には叱らないんです。叱るというのは基本的に学生が萎縮してしまうというのが私の勝手な思いなんです。学生が萎縮してしまい、学生がやりたいこと言いたいこと、今まで考えていたことを押し殺して、大人が求める模範解答を出そうとするのは学生の成長には反すると思う。


プロセスを振り返り考える時間を与える

やりたい事をやって見ろと後は大人が責任を持つからと学生の間は自由にやりたい事をやらせる環境を作る事が学生のやる気を起こさせるひとつかなと。学生が自由にやっているうちに壁にぶつかる。自分はやったという学生と、えっ、自由にって何をどうすればいいと迷う学生がいるんです。やったと思う学生はやりたい放題でやってみる、そのうちにできない事もあるし、壁にぶつかるし、失敗もする。一方では、どうすればいいのと迷っていた学生も少しづつはやってみようと動き出す、今までの環境から少しはみ出す。

思い切っていろんな事を体験した人も戻ってくる事もあるんですね、失敗して自分はどうだったんだろうと、その時に周りの大人に聞こうとすると思う。その時に、こことここはちょっと違ったんじゃないかと、やってきたプロセスを振り返り考える時間を与える。

そこで、君はこうだったからダメだと萎縮してしまうので、先生だったらこうしたかもしれない程度のアドバイスをすると自分のやってきた事を見直す時間をもうけるとおもうんですね。そうすると自分の中でPDCAじゃないですが、自分の行動を見直ししながら改善しようとする動きがでてくる。そこがやる気の源泉になると思う。

1ミリでも2ミリでも今までと違う行動と経験

活発に動く学生はしばらくは自由にやらせる、学生が失敗した時に適正なアドバイスを投げてみる。考えるチャンスを与える。考えた結果、今まで自分がやってきたことから1ミリでも2ミリでも前に進む事ができるんだったら、その学生は今後の人生で大きく成長する可能性がある。それを大人が後押しする。

一方でおとなしい、自分の行動に自信のない学生は、出来るだけ今の環境からちょっとでもチャレンジしてみる環境作りをする、成功か失敗かではなく、まずは今の自分の枠からはみ出るだけでも成功とおもって、そこをサポートしてあげたほうがいいと思う。

となると、いままで自分は外に出たくない自分がやってきた行動範囲からはみ出したくないという学生から、いままでと違う行動、違う経験のプロセスの中で気付く事があるとしたら、次のステップに生かすようなことになるとその学生もその学生なりに伸びると思うんですよ


学生は全部違うので

アドバイスにマニュアルは不可能

それぞれの学生のパターンが違うのでマニュアル化するのは難しいと思うんです。

学生は全部違うので、それぞれにアドバイスも違う、教育はある意味こちらもやりがいがある.。逆に難しくもありマニュアル化できないのでこちらも勉強になるところ。

「半学半教」という諺もあるので、教える事は学ぶことでもあるので、この生徒がこのように成長しているという事が経験値となり、次の学生にどう活かしていくかが教員側のやる気につながる。それがないと一方通行になる。学生だけがやる気があってもダメだし、教員だけがやる気があってもダメ。お互いに最大の効果をあげるためにはどうするかを考えるのは大事かなと思う。



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