2022年06月03日講義
株式会社 JEPLAN(旧社名:日本環境設計株式会社)代表取締役会長
岩元 美智彦 氏
いつもお世話になっている皆様へ
日本の将来への悲観的な気持ちを吹き飛ばす講義
6月3日の講師は株式会社JEPLAN(元日本環境設計)の代表取締役会長 岩元美智彦さんでした。また、この日の新聞には2021年の出生数は81万1604人で、データがある1899年以降で最小となったとの報道がありました。私はこのニュースにとてもショックを受けました、私が福岡大学で働き始めた1985年当時の18歳人口は200万人を超えていましたので、この子供たちが大学に行く頃には、3分の1になるわけですから大学の経営も大変なことになるだろうと思ったからです。問題は大学だけにとどまらないで資源もない国である日本の将来にとても悲観的な気持ちになったところでした。ところが、岩元会長の講義は、私の悲観的な気持ちを吹き飛ばす希望に溢れる講義になりました。
映画バック・ツー・ザ・フーチャーPart2から
未来を夢想
岩元さんは学生時代にバック・ツー・ザ・フーチャーPart2の映画(1989年公開)の中で、1985年の街角でゴミ箱に捨てられていたバナナの皮やゴミを燃料にデロリアンという車型タイムマシンが、30年後の2015年10月21日の世界にタイムスリップするのを見て、ゴミを燃料に走る未来の車社会を夢想されたと言います。2007年に日本環境設計を創業され、服から服、ペットボトルからペットボトルへ1:1の無限のリサイクルを実現されているそうです。リサイクルといえば、3Rという言葉とともマテリアルリサイクルとかサーマルリサイクルのことしか頭にありませんでしたので、岩元さんが推進されているケミカルリサイクルについてのお話を聞いて驚きました。3Rとは言うまでもなく、ゴミを再利用する(Reuse),減らす(Reduce),リサイクル(Recyce)することで、岩元さんの話を聞くと3Rは一体何だったんだろうか?3Rは無駄をなくすことが目的なのに、無駄しかないのではないかと思いました。まず、Rは三つもいらないReuseだけでいい。一対一の無限のリサイクルで、50年前の洋服が、ケミカルリサイクルで、全く新しい洋服としてReuse出来るなんて革命的なことだと思いました。
3Rでは、一対一の無限リサイクルができない前提で考えられているので、効率はどれくらいなのだろうかと考えて、ネットを調べてみましたが、明確な答えは見つかりませんでした。直感的に考えても、サーマルリサイクルで、焼却処理をした場合、どの程度の価値を取り出せるのかと考えても、取り出す価値(エネルギーの売電価格)よりも、世の中にとって迷惑なゴミを消し去ることの価値が遥かに大きく、ゴミはゴミでしかないという発想なんだと改めて気づきました。
ゴミをゴミとしてではなく資源と考える
このように考えてると岩元さんの発想は、ゴミをゴミとしてではなく、資源として考えると言う点で、とんでもなくすごい発想の転換を私たちに迫っていることに気付かされました。しかし、発想がどれだけすごいものであってもそれが、多くの人に伝えれらなければ、その考えは世の中の共有の財産にはなりません。そこで、岩元さんは「正しい」から「楽しい」へと言うキーワードを出されました。そこで、映画Back to the Futureの登場です。私は、 Netflixで改めて、この映画を見ました。岩元さんが考えられたようにリサイクルとデロリアンを結びつけて、2015年の10月21日に日本でこの車を走らせると言う発想ができる人、またその発想を実際にスピルバーグなどハリウッドを巻き込んで実現できる人が他にいるだろうかと考えた時に絶対いないだろう確信しました。
資源の獲得競争による戦争をしなくてもいい
1900年に4000万人から2000年の13000万人、そして2100年に再び5000万人と日本の人口が急速に減少していきます。人口減少という未曾有の事態にどのように日本人が対応していくのか?私はいつも考えてきましたが、岩元さんの講義を聞いて、人口減少をそれほど
心配することもないと感じました。ケミカルリサイクルによって、地下資源よりも安い価格で1対1のリサイクルが可能であれば、資源のない日本であっても地上資源だけで、十分賄うことができるのですから。今ウクライナでは戦争が起きていますが、戦争は、資源の獲得競争から起こります。岩元さんの技術は、そのような資源の獲得競争はしなくてもいいことになります。日本が平和を輸出することができるようになるのです。岩元さんはいつもニコニコされていて、存在そのものが平和の象徴です。
雑談の時に「地下鉄で来ました。飛行機も入り口はVIPだけど、エコノミーなので、娘に馬鹿にされる」と明るくお話しされていましたがとても庶民的な方で、とても平和な気分になります。
次回6月10日は、博多の歴女白駒妃登美さんの講義です。白駒妃登美さんは、歴史上の人物の話をまるで、自分のおじさんかおばさんのように身近なお話として、教えてくださいます。歴史の授業が大嫌いだったと言う人も、面白く聞けると思いますので楽しみにしてください。
6月3日10時40分から14時半(12:10分から13時までの昼食時間を除く)
教室はAB01
ZOOMで参加する人は
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Pass: 717656
2022年6月8日 阿比留正弘