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2021年4月23日講義

株式会社​植松電気 代表取締役

植松 努氏

いつもお世話になっている皆様へ

 

 

ひとり、ひとりに丁寧に

先週の金曜日に植松電機の植松努さんの講義が、終わりました。コロナ感染を恐れて、研究室から参加していた私は、講義が14時半に終わって、文系センターの入口で帰ってこられるのを待っていましたが、10分経っても、20分経っても教室から戻ってこられないので、教室に行ったら、まだ、多くの学生や地域の人がおられ、質問を受けたり、写真を一緒に撮ったりとすごい状態になっていることに驚きました。ひとりひとりの声をしっかり聞き、対応されており人間を本当に大切にされる人であることを再認識しました。そういえば、講演の後、メールでも質問をうけられ、ひとりひとりのメールに丁寧に答えられることも半端な数字ではないと思います。先日は、400通の質問が来て、全てに答えられたと聞いています。


「対抗不能性」

 講義は多くの人が感動したと思いますし、感動のポイントは人によって様々ですが、私にとって、一番の収穫は「対抗不能性」という言葉でした。日本は2000年前後を境に、人口増加期から人口減少期に環境が変わった。この環境変化は社会に大きな変化をもたらします。これまで通用した常識が全く通用しなくなる。この変化に対応し、それに備えるために教育は存在するはずなのに、日本の学校教育はその役割を果たしていない。その役割を果たすために、私は植松さんと新教育プロジェクトを立ち上げ、これまで、何回も私達の学生グループと打ち合わせをしてきました。その土台となる考えが12月25日に植松さんから発表してもらいました。それが以下のURLです。

https://www.youtube.com/watch?v=tm8KY71Gf6U&t=1559s

 

誰にでもつくれるものではないもの

 人口減少期には、物が売れなくなり、普通のものは価格競争に巻き込まれ、企業の生き残りも激しさを増していくでしょう。学生は、今後生き残れる企業を探し、企業は生き残りを賭けて大競争時代に突入するでしょう。その時のキーワードが「対抗不能性」だと植松さんは言われます。対抗不能なのは、普通ではない、誰にでもつくれるものではないもの。つまり作るのに困難が伴うものかもしくは、儲からないものだそうです。儲からないなら誰も手を出さないから、それを儲かる仕組みを作れば必ず、生き残れるといわれます。私はこの話を聞いて「これだ!」と確信しました。

 

​人的ネットワークを得る

 現代の教育には、とてもお金がかかります。福岡大学の経済学部の学生の授業料は全国でも安いほうだと言われますが、それでも一年間に100万円程度かかります。4年間で400万円もかけて大学に来ているけど、その授業料に見合った教育を受けているのでしょうか?人生の夏休みとしての大学生活を送っている人も多いのですが、それにしては高すぎるのではないでしょうか?ベンチャー起業論の受講生は、企業にインターンシップに行き、その企業の社長さんや、社員さん、取引先の方々など多くの方々に会って、その企業のビジネスモデルを学び、何かの違和感があればそれを解消するための活動を基本的には無給で行っています。学生の目的は、生きた知識や社会での経験、そして、生きるための人的なネットワークをプロジェクト活動を通して得ることが出来ます。企業は社会の変化に対応しながら、行き残る事が大事ですが、時代の変化に対応して行くには、人材がいなければ何も出来ません。その人材を採用して、対応していくには、給料を払わなければいけません。しかし、学生は給料をもらうことではなく、卒業後に直面する問題に対応できる能力をみにつけることやまた自分の適性を正しく理解することが求められているわけです。

 

 つまり、企業が喉から手が出るほど欲しい「対抗不能性」は学生と組むことで実現することができるとするなら、私達が新教育プロジェクトで学生と企業のコラボレーションの形として、対抗不能性を企業が獲得する具体的なメニューを提示すればいいことになります。私達は、7月17日に予定している公益資本主義フォーラムでは植松さんの講演に続いて、対抗不能性を動き出した学生(卒業生)の活動をお見せしたいと思っております。是非、ご期待ください。

2021年4月26日 阿比留正弘

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