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2021年 12月24日講義

九州朝日放送㈱ 常務取締役

森 君夫  氏

いつもお世話になっている皆様へ

テレビとインターネットが競合する時代

 今年最後の講義は、KBCの常務取締役の森君夫さんでした。森さんとは昨年の忘年会で、出会い話をするととても気さくな方で意気投合し、講義でお話してもらうことになりました。私は、テレビとインターネットが競合する時代になり、消費者からはお金を取らない

放送というビジネスモデルが、同じように消費者からはお金をとらない広告収入モデルという点でとても気になっていました。また、若者を中心としてYouTube,Instagram,Tiktokなどと爆発的に普及しており、時代についていけない私のような老人はどうすればいいのかテレビ放送業界と重ね合わせて、将来を展望していました。

明日は今日より素晴らしい、希望に溢れた時代

 講義を受けてみて、最初に興味を持ったのが、KBCの創業が1953年で私が誕生した年であることです。翌年からラジオ放送が始まったらしいのですが、私の田舎である対馬には、まだ電気が来ていませんでした。電気が初めて私の田舎に来たのは小学校の一年生ですから、1960年です。その後、2年位で田舎のどこかの家にテレビがついて、そこに村中の人が集まり、みんなでプロレスを見たのを覚えています。その後数年で、殆どの家にテレビがつき、1964年の東京オリンピックは自宅でテレビを見たのを思い出しました。その後大量生産大量消費で電化製品や車などこれまでの生活を一新するような製品が毎年現れ、

明日は今日より、素晴らしい、希望に溢れた時代を過ごしてきたことを思い出していました。

変化・チャレンジしなければ存続できない

 しかし、これからは人口も減少傾向、特に買いたいものがない時代になったと思います。このような時代に、放送局はどのような戦略で臨むのかに関心を持ちながら森さんの話を聞きました。森さんの話を聞いてとてもすごいと思ったのは、変化しなければ、チャレンジし続けていなければ、存続できないと本気で考えておられるところです。

福岡大学が、変化に対して、とても鈍感な大学であることをいつも問題に思っていました

ので、放送局の経営陣が現状に対して、常に変革を意識されていることには、意外でした。

 具体的な話として、とても面白かったのは、世界水泳大会2022が来年行われるが、

2001年に世界水泳大会にKBCが大きく関わっておられたことを知ったのは驚きでした。

物覚えの悪い私でもイアンソープの名前を今でもすぐに思い出すくらいだから。当時テレビ朝日はキー局では4番目で、目立つ存在でなかったが、マイナーな水泳競技をキー局、系列局と一丸となった取り組みで勝負に出たそうです。その結果、宣伝以上の効果が出て、多くのメディアに取り上げられた結果、私でも思い出すくらいのプロモーションが行われたということになります。

 今回の講義で初めて知ったこととして、今では水泳のテレビ放送では当たり前になっている「世界記録ライン」や「選手・国名表示の国名表示のCG演出」はこの大会から導入されたそうです。

ローカル局から独自番組で全国配信

 また、KBCはテレビ朝日系列の地域のローカル局ですが、独自番組で全国配信という逆方向の流れを作っている番組として、KBCオーガスタというゴルフ中継があります。私はゴルフが好きで、KBCオーガスタが開催される芥屋ゴルフ場は大好きなゴルフ倶楽部のひとつなので、とても興味を持って話を聞きました。KBCオーガスタは創立20周年記念事業のひとつとして1973年に福岡ゴルフクラブ・和白コースでスタートし、1983年から芥屋で開催するようになったそうです。この話の中でとても面白かったのは、「challenge for change!」と題する2017年の改革です。このとき、改革のモデルにしたのは、アメリカのアリゾナ州で1932年から開催され、開催週の一週間で70万人を集めるフェニックス・オープンです。

これまでの常識を破ることで新たな文化をつくる

 これをモデルにすることはこれまでのゴルフ中継の常識を破らなければならないという経営判断を伴います。例えば、クラブハウス周辺や練習場、イベントスペースでは大音量で洋楽を流す。選手は自分で選んだ音楽に合わせて入場する。会場内ではカレー、炭火焼きなど8種類の食べ物が食べ放題、ビール飲み放題「バス利用者」、ホールアウト後は18番グリーン周辺でタレントHKT48によるライブ実施などです。

 この結果、男性中心のゴルフファンだけでなく、家族連れ、女性などいろんな人が入場し、新たな文化を作ることに成功されたということです。

 このようなKBCの取り組みを聞いて、2022年の世界水泳がとても楽しみになりました。この世界イベントをきっかけに福岡が、世界中で脚光を浴びて、世界中の人が福岡に興味を持ち、福岡に来る人が増えると面白いと思いました。常識にとらわれず、世界水泳を水泳だけのイベントとしてではなく、福岡の食文化、アニメなどの芸能、山笠などのまつり、野球、サッカーなどが盛んな街として売り出してもらえるのではないかと期待しています。

 

次回は、杉岡製材所の杉岡世邦さんです。

 今年のベンチャー起業論はこれで終わりですが、今期の講義としては1月7日が最後の講義となります。最後の講師は、杉岡製材所の杉岡世邦さんです。杉岡さんは、日本の美の象徴としての自然が、放っておいて守られるわけではないことに警鐘を鳴らし続けておられます。私はこのことを大好きなインドに行ってよく感じます。インド北部は、燃料用に木を消費して、村は砂漠化しています。日本においても、歴史的には木を燃料にしている江戸時代など、禿山が多かったと言われます。今日、森林はCO2の吸収の大きな力としての役割を果たしていますが、林野庁の政策は場当たり的な側面も否定できません。このような問題について考えるいい機会です。

興味のある方は、ZOOMでも参加できます。

1月7日 10:40ー14:30(12:10-13:00までは昼食休憩)

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